僕の『僕の頭の中』

音楽や本、ラジオなどのポップカルチャーと自分語り

孤独から救うもの ー 爆笑問題 太田光

どうしてもこの話しをしなければならない。

 

6月2日に放送されたTBS「サンデージャポン」で、5月28日に発生した川崎市殺傷事件について取り上げられていた。

 

ゲストやレギュラー陣が、この事件の犯人について死ぬなら一人で死ぬべきか否か、一通り議論が交わされた後、爆笑問題 太田光が事件について、犯人に対して、自分の想いや考えを発した。

 

「俺なんか、同じ五十代ですけど、やっぱり高校生の時に、俺も何も感動できなくなった時があったんですよ。物を食べても味もしない。そういう時にやっぱりこのまま死んでもいいんだっていうくらいまでいくんだけれども。そうなっちゃうと他人の命も…。自分がそうなら他人の命も…。自分がそうなら、他人の命だって、そりゃあ大切には思えないよね。」

 

太田光は、高校時代、友だちが一人もいない孤独の中、無遅刻無欠席を貫いた人である。

 

「だけど、その時に俺のきっかけだったけど…。たまたま美術館に行って、ピカソの絵を見た時になんか急に感動が戻ってきたの。何を見ても感動できなかったんだけど。ピカソを理解できたってわけじゃないんだけど、そん時の俺は「ああ、こんな自由でいいんだ」と。表現って…。そこからいろんなことに感動して、いろいろなものを好きになる。好きになるってことは結局、それに気づけた自分が好きになるってことで…。それっていうのは、人でも文学でも映画でも何でもいいんだと…。そういうことに心を動かされた自分って、捨てたもんじゃないなって思うの。生きている生物や人間たちの命もやっぱり、捨てたもんじゃないのだと。」

 

僕も十代後半から二十代前半にかけて孤独だった。自分の人生にまったく色がなかった。その時に、一人で毎日繰り返し読んでいたのが「爆笑問題の日本原論」だった。

 

テリー伊藤が太田に問い掛ける。

 

「太田さんは自分一人で見つけることができた。彼みたいな人はそれができなかった。」

 

太田は、考えながら答える。

「それが、つまり、俺は…そのすぐ近くにいると思うのは、ああいう彼のような人がそこを今…いいや、そこを今、自分って死んでもいいと思っている人は、もうちょっと先にそれを見つける…。すぐ近くにいるよってことを知って欲しい。というか、そのきっかけさえあれば…と思うんだよね。すごい発見できる。すごい近くにいると。」

 

太田光もこの事件の犯人と同様、孤独な人だった。

僕もそうだった。きっかけひとつ。孤独だったあの頃、爆笑問題の漫才を見て、僕は心から笑ったんだ。

 

農水省事務次官が長男を刺殺した事件で、「川崎の事件が頭に浮かんだ」と供述した。

自分の息子を殺さなければならなかったのか。

他に方法はなかったのか。

 

今から綺麗事を話させていただく。

僕自身、孤独から救われた側なので、もし周りに同じような人がいたら非難せずに受け止められる人になりたい。きっかけになりたい。

 

孤独から救ってくれた爆笑問題 太田光のように。

 

 

エレファントカシマシ「孤独な旅人」

https://open.spotify.com/track/6qbR8kcamXQnt4Ez8wXL5c?si=2upx5H1ETVOgJpxQaZD5ow